研究概要 |
基礎的検討として,本研究を通じて使用するnovelty P3とP3aの異同につき課題関連性と新奇性の立場と心理学的な意味づけを明らかにするために,正常者(n=10)においてオドボール課題と4音弁別課題を用いて頭皮上電場変動の経時的推定解析を行いnovelty P3とP3aの異同を客観的に示した(Electroencephalogr.Clin.Neurophysiol.49:154-9,1999). 次に皮質下・前頭葉機能障害をもつパーキンソン(PD)病を検討する前の先行研究として,一般的な痴呆の代表として血管性痴呆(VaD)患者(n=13)を対象とし,情報処理速度と情報処理資源配分の障害を明らかにする目的で同様のERP測定課題を用いP3を測定した.この結果,VaD患者では情報処理速度の低下が確認され,4音弁別課題から情報処理資源量の減少や配分障害の存在も示された(臨床神経生理学28:46-50,2000). PD患者(n=15)における認知機能障害,とりわけ前頭葉機能障害に基づくと考えられる保続とメンタルセット変換障害の評価をP3を用いて検討した.PDではnovelty P3の減衰がみられず,刺激の新奇性が過剰に保たれていたということから,PDにおける皮質下・前頭葉機能障害にみられるセット変換障害を客観的に証明した(Movement Disorders 15:835-842,2000). 最後にそのPDにおける情報処理障害の根底に存在すると考えられるより早期部分の異常を検出する目的でERPの早期成分であるN2複合成分に注目し解析,PDにおける,標的・新奇刺激に対する感覚入力自動処理機能の障害を明らかにした(Therapeutic Research 20:270-274,1999).
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