研究課題/領域番号 |
11670639
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田中 耕太郎 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90129528)
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研究分担者 |
傳法 倫久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50306700)
鈴木 重明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276242)
野川 茂 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50208310)
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キーワード | 脳虚血 / 虚血性細胞障害 / 転写因子 / サイトカイン / 脳保護 / CREB / IL-6 / 情報伝達 |
研究概要 |
本年度は、脳虚血再潅流時、組織保護的に作用する内因性組織反応の実態を明らかにする目的で、種々の神経栄養因子の作用発現やBCL-2蛋白などの抗アポトーシス因子発現に関与する転写因子cyclic AMP response element binding protein(CREB)のリン酸化(活性化)を免疫組織学的検討を中心に調べた。その結果、CREBリン酸化は再潅流早期に虚血中心部および虚血周辺部の神経細胞で明らかに亢進していた。しかし、虚血中心部ではその後、急速にCREBリン酸化は減退し、それに少し遅れて組織学的に細胞傷害が明らかとなり、壊死に陥った。一方、虚血周辺部では、CREBリン酸化の亢進は持続し、組織学的にも神経細胞は正常に保たれていた。これらのことより、脳虚血再潅流時、CREBリン酸化の持続が神経細胞の運命を決定する重要な鍵を握っていることが示された。今後、CREBリン酸化の下流のシグナルを解明する必要がある。 一方、組織保護的に作用するサイトカインの一つであるinterleukin-6は、CREBリン酸化より若干遅れて、虚血中心部、周辺部でその発現が明らかとなり、神経細胞のみならず、ミクログリアにもその存在が確認された。Interleukin-6の発現調節はCREBリン酸化以外にもいくつかの因子の関与が示唆されており、今後の検討が必要である。
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