研究概要 |
パーキン遺伝子は常染色体劣性若年性パーキンソニズム(AR-JP)の原因遺伝子として同定された全長1.5Mbもある巨大遺伝子である.我々は日本をはじめ世界各国から臨床的にAR-JPと疑われる約300例の症例について変異解析を行った.約25%にhomozygous mutations(16種類の変異)を認めた.一方,臨床的にAR-JPと診断されても変異の認められない症例も存在し,複合ヘテロ接合体である可能性を考えreal time quantitative PCR法を用いたGene dosage techniqueにて検討した.複数の家系で複合ヘテロ接合体の存在を確認した.これら結果は,fluorescent in situ hybridizationにて確認できている.一方,パーキン蛋白の機能解析のため,合成ペプチド抗原に対する抗体を作成し,AR-JP,Sporadic Parkinson's diseaase(PD),Normal brainsで検討した.AR-JPでは蛋白発現を認めず,免疫染色とWestern blottingでは,Golgicomplexとcytosolにパーキンが存在していることが解った.更に詳細な機能解析のためGFPをtagとして融合蛋白を作成し,細胞内局在の変化を様々なmutantを作成し検討した.cell biologyの検討からは多くのmutantでmembrane fractionに存在していることが判明した.パーキンはN末にユビキチン様ドメインを持つことよりユビキチンシステムへの関与が考えられたためLewy bodiesにおけるパーキンの局在の有無を検討したところで全てではないが一部のLewy bodiesでユビキチンと共局在した.この結果はパーキンのユビキチンシステムへの関与を示唆するものと考える.
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