研究概要 |
本研究課題ではDuchenne筋ジストロフィー症(DMD)や福山型筋ジストロフィー症(FCMD)の骨格筋細胞膜にfreeze-fracture replica電顕法で認められるorthogonal array(aquaporin 4(AQP4))の減少機序を研究する。平成11年度はDMDとFCMD患者を対象にDNAレベルと蛋白レベルで検討することになっていた。DNAレベルでは正常対照または非筋疾患合わせて7例、DMD6例、FCMD4例、筋緊張性ジストロフィー症などの筋疾患対照例3例の患者で目的を充分説明し了解を得た上で採血し、リンパ球DNAを抽出した。PCR用oligonucleotide primerはヒトのAQP4DNA配列(Lu M.,et al.Proc Natl Acad Sci USA93:10908-10912,1996)よりゲノムDNAをサーベイ出来る様に設計した。PCR溶液組成は0.2mMdNTPmixture0.8μM senseとantisense primer,25ng template DNA 25U/ml TaKaRa taq polymerase,1xPCR bufferである。PCR反応は94℃30秒、52℃30秒、72℃1分で35cycle行なった。PCR産物は2%アガロースゲル電気泳動し、欠失の有無を確認した。結果はDMD,FCMD試料とも正常対照と同じ位置にAQP4のゲノムDNAが存在することを示す1本のバンドが認められた。蛋白レベルでは今年度は正常対照筋と疾患筋はDMD生検筋のみを用いて、筋組織にAQP4が蛋白レベルで発現しているかどうかを免疫間接蛍光抗体法を用いて染色した。そして抗AQP4抗体の染色所見を、抗dystrophin抗体、抗β-spectrin抗体の蛍光染色所見と比較検討した。その結果抗AQP4抗体染色標本は抗dystrophin抗体染色標本に比べ若干patchyに骨格筋表面膜が染色される筋線維はあるものの抗β-spectrin抗体染色標本に比し著しく染色性が低下していた。
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