研究課題/領域番号 |
11670645
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
内山 真一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50119905)
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研究分担者 |
笠貫 宏 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40096574)
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キーワード | 非弁膜症性心房細動 / 脳梗栓症 / 血小板フィブノゲン結合 / 血小板Pセレクチン発現 / 網状血小板 / 血液凝固マーカー / ワーファリン療法 |
研究概要 |
脳塞栓症を発症した非弁膜症心房細動(NVAF)患者においてフローサトメトリーにより血小板フィブリノゲン結合陽性率、血小板Pセレクチン発現陽性率、網状血小板比率を測定するとともにEIA法によりβ-トロンボグロブリン(β-TG)、血小板第4因子(PF4)、プロトロンビン・フラグメント1.2、トロンビン・アンチトロビン-III複合体(TAT)、フィブリン・モノマー(FM)、D-ダイマーを測定した。 NVAFに併発した脳梗塞急性期にはβ-TG、PF4、TATが高値を示したが、FMとD-ダイマーは亜急性期にもっとも高値を示した。NVAFによる脳塞栓症では血小板フィブリノゲン結合陽性率の増加よりも血小板Pセレクチン発現陽性率の増加を示す症例が多く、網状血小板比率の著明な増加を示す症例が多いのが特徴であった。また、網状血小板比率は抗凝固療法(ワーファリン)単独または抗血小板療法との併用により有意に低下した。 NVAFに併発した脳梗塞では急性期に凝固活性化のみならず、血小板活性化も生じており、線溶は凝固活性化に遅れて活性化すると考えられた。今後、NVAFによる脳塞栓症急性期の治療にはこのような血小板・凝固・線溶動態の特徴を考慮して抗血栓療法の適応を決定する必要があるように思われた。脳梗塞を併発したNVAF患者において血小板フィブリノゲン結合陽性率よりも血小板Pセレクチン発現陽性率のほうが有意に異常高値を示したことは高度の活性化後の不応期にある血小板の増加を反映している可能性が示唆された。脳梗塞を併発したNVAF患者の網状血小板の増加は心腔内の血栓形成に伴う血小板消費による血小板回転の亢進を示していると考えられ、ワーファリン療法によって低下したことから、この現象がトロンビン依存性であることが示唆された。
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