ヒトALSにおけるグルタミン酸トランスポーター免疫活性と変異マウスの病理学的検討

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11670646
• 研究機関: 東京女子医科大学
• 研究代表者: 佐々木 彰一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40119962)
• キーワード: 筋萎縮性側素硬化症 / トランスジュニックマウス / SCDI変異 / nitric oxide synthase / ニトロタイロシン / 脊髄 / 免疫組織学

研究概要

変異SOD1遺伝子(G93A)導入トランスジェニックマウスの脊髄におけるinducible nitric oxide synthase(iNOS)およびnitrotyrosineの免疫活性
誘導型nitric oxide synthase(inducible NOS:iNOS)とnitrotyrosine(NT)の抗体を用いて、変異SOD1遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの脊髄を前向きかつ経時的に免疫組織学的に観察し、iNOSおよびNTの免疫活性の分布を明らかにすることにより、本動物モデルの運動ニューロンの変性に酸化的ストレスが関与しているか否かを検索した。対照として、age-matchした非トランスジェニックwild-typeマウスを用いた。対照マウスでは、いかなる病期においても前角細胞の胞体あるいはその突起にはiNOSあるいはNTの免疫活性はみられなかった。他方、トランスジェニックマウスの脊髄前角細胞では、iNOSあるいはNTの免疫活性が認められた。24週令のマウス(前発症期前期)では、前角細胞およびその突起にときどきiNOSあるいはNTの免疫活性が認められた。28週令のマウス(前発症期後期)では、前角細胞およびその突起にまれならずiNOSあるいはNTの免疫活性が認められた。32週令のマウス(発症期前期)および35週令のマウス(発症期後期)では、前角細胞の胞体と同様に増生した反応性アストロサイトにも、iNOSおよびNTの免疫活性が頻繁に認められた。前角細胞におけるiNOSおよびNTの陽性の免疫活性の選択的分布は、このトランスジェニックマウスにおける運動ニューロンの変性過程の病態機序に酸化的ストレスが関与していることを示唆している。

研究成果

• [文献書誌] S.Sasaki. et al: "EAAT1 and EAAT2 immunoreactivity in the spinal cord of amyotrophic lateral sclerosis"Acta Neuropathologica. 100・2. 138-144 (2000)
• [文献書誌] S.Sasaki et al: "An unusual case of familial amyotrophic lateral sclerosis with extensive involvement and with neuronal cytoplasmic inclusions"Neuropathal.Appl.Neurobiol. 26・4. 398-402 (2000)
• [文献書誌] S.Sasaki. et al: "Immunocytochemical and ultrastructural study of the motor cortex in patients with lower motor neuron disease"Neuroscience Letters. 281・1. 45-48 (2000)
• [文献書誌] S.Sasaki et al: "iNOS and nitrotyrosine immunoreactivity in amyotrophic lateral sclerosis"Neuroscience Letters. 291・1. 44-48 (2000)
• [文献書誌] S.Sasaki et al: "Neuronal nitric oxide synthase (nNOS) immunoreactivity in the spinal cord in amyotrophic lateral sclerosis"Acta Neuropathologica. (in press).
• [文献書誌] S.Sasaki et al: "Immunohistochemical and ultrastructural study of basophilic inclusions of the spinal cord insporadic adult-onset motor neuron disease"Acta Neuropathologica. (in press).