研究概要 |
核医学では薬剤を選択することによって、ほぼ同時に複数の機能を計測することができる.15-O標識水による負荷時脳血流及び15-O標識酸素ガス、18F-FDG等による酸素代謝、糖代謝画像などから3〜4次元相関図を作成し、クラスタリングして、脳の各部位を機能の組み合わせによって分類する方法を開発した.対象は、手術前後で経過を追って検査を行った脳血管障害例(内頸動脈閉塞症やモヤモヤ病).用いる機能の種類、数、クラスターリングの方法、クラスター数などを変化させて、本法の有用性を検討した.この方法では、術前後を通して機能の絶対値の変化を評価していくので、術前、血管拡張能が亢進しているのか、正常値なのか等を客観的に診断できる可能性が示唆された.ベンゾジアゼピンレセプター分布容積(DV)を20分から20分間集積した静態画像から定量的に算出する方法を検討してきたが、今回は、正常者数(9例)を増やすとともに、放射能濃度からDVへの変換係数の算出方法を改良した。一つは、全血、プラズマ、未代謝プラズマそれぞれの積分値で除した放射能画像と動態解析から求めたDVの比の個々の平均値でなく正常者全例から1つの比例係数を求めた。もう一つは、動脈血2点採血を行って関数近似による代謝補正を行った場合と1点採血のみの全血、プラズマ、未代謝プラズマを用いた場合を比較した。本法を、てんかん11,脳血管障害4,痴呆5例に適用し評価した。また、MRIとPET血流量及び糖代謝画像を位置合わせして、相関図を作成しクラスタリングを行って、脳溝部分を抽出する方法を開発し、脳溝の割合から萎縮の程度をていりょうし加齢による変化を検討した.
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