研究課題/領域番号 |
11670666
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
今村 浩 信州大学, 医学部, 講師 (60283264)
|
研究分担者 |
磯部 光章 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (80176263)
渡辺 徳 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (50303467)
内川 慎一郎 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (50324265)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
キーワード | P-セレクチン / 白血球 / 血小板 / 再狭窄 / リモデリン / 内膜肥厚 / 血管反応性 / 血管平滑筋 |
研究概要 |
動脈硬化および経皮経管冠動脈形成術(PTCA)後再狭窄の発症・進展における血管の炎症と病的リモデリングの血管生物学的機序とその生理学的特徴を解明することを目的とした。 本研究では第一に血管壁、特に血管外膜側の炎症に注目し、炎症細胞に発現する接着因子P-セレクチンの役割をラット頚動脈バルーン傷害モデルを用いて検討した。P-セレクチンは、内皮細胞が剥離された後の内皮下組織に粘着・凝集した活性化血小板に強く発現する一方、外膜側の小血管内皮細胞にも傷害後7日目まで強く発現した。障害後8日目における傷害血管壁へのCD45陽性細胞の浸潤は抗P-セレクチン抗体投与によって有意に抑制されていた。バルーン傷害後14日目の抗P-セレクチン抗体による治療群(P群)の新生内膜面積は、対照群(C群)すなわち無治療群に比較して有意に抑制され、その効果は56日後にも持続していた。内弾性板および外弾性板の長さは56日目にはP群で長く、外膜の線維化も著明に抑制されており、傷害後56日目のP群の内腔面積はC群の約3倍広く保たれていた。P-セレクチンはバルーン傷害後の血管壁の炎症過程において、傷害内腔面だけでなく外膜側からも関与することが明らかとなり、抗P-セレクチン抗体投与により傷害血管壁への白血球浸潤が抑制され、新生内膜肥厚・病的血管リモデリングの進展が改善された。 第二に傷害血管における血管収縮弛緩反応の変化を薬理学的手法で検討した。ラット頚動脈バルーン傷害後2週間目に摘出した頚動脈の壁張力を記録しながら血管作動性生理活性物質を投与した。その結果、正常血管と傷害血管とでは基本的な収縮力は障害血管では有意に低下していたが、血管作動性物質への反応性には差を認めなかった。弛緩反応においては最大弛緩反応が傷害血管で低下していたが、弛緩反応を誘起する物質間での反応性の差異は明らかでなかった。
|