研究概要 |
目的)高脂血症、糖尿病、加齢の3つの動脈硬化危険因子が単独又は相互に作用する進行動脈硬化モデル(家兎、ラット)を作成し、誘導型NO合成酵素(iNOS)、活性酸素(O_2)、ONOOの関与と、シトルリン-アルギニンサイクルの役割を解明する。結果)各種動脈硬化症におけるiNOS,ONOOの役割を明らかにする。方法)高脂血症モデルは、家兎に0.5%コレステロール負荷食を投与して作成した。糖尿病モデルはラットにストレブトゾトシンを接種しIDDMモデルを作成した。9週齢から108週齢まで各週齢のものを用い、加齢の影響を検討した。結果)高脂血症家兎においては、動脈硬化進行病変にiNOSを認め、ONOOをの存在を示唆するニトロチロシンも認めた。NOSの基質であるアルギニンは血中には多量に存在するが、組織中にも高濃度を認めた。動脈硬化血管、退縮血管において、アルギニン代謝経路であるアルギナーゼI,IIの産生を認めた。ラット糖尿病モデルにおいては加齢ラットにおいて血管内膜の皮厚を軽度認めるのみであった。血管反応性も、内皮由来NO分泌反応よりも、中膜平滑筋機能の低下を認め、高脂血症モデルとは異なっていた。iNOS、ニトロチロシンを加齢糖尿病ラットの中膜平滑筋に認めた。シトルリン(NOS反応物質)からアルギニン再生成を誘導するシトルリン-アルギニン回路の動態についても検討している。これらより、動脈硬化の危険因子より動態が異なり、NO、活性酸素のみで一元的に説明できない可能性が示唆された。
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