研究概要 |
本年度は以下の実験が行われた。 1)細胞膜膜イオンチャネルの発生段階による機能分化の解析 マウス胎生9.5日齢及び胎生18日齢の心室筋細胞にホールセルパッチクランプ法を施し、過分極誘発内向き電流(If)の記録解析を行い、発生段階による各電流の変化について検討した。胎生9.5日齢では-7.9pA/pF(-130mV)、胎生18日齢で-1.4pA/pFであり発達に伴う自動能の消失が示唆された。またβアドリレナン刺激による反応が胎生9.5日齢のIfで認められるが、その受容体の発達は未熟であることが判明した。PCR法を用いたmRNA解析では、HCN4が胎生9.5日齢心室筋のIfを狙う主要な発現遺伝子であることがわかった。 2)細胞内Ca^<2+>濃度調節機構の機能分化の解析 Ryanodine受容体、筋小胞体Ca^<2+>ポンプ、phospholamban,Na^+-Ca^<2+>交換機構蛋白のmRNA発現量を、種々の発達段階(マウス胎生9.5日齢・胎生18日齢・生後10週齢の心室筋細胞)で、定量PCR法により測定した。Westren blot法で蛋白質レベルの発現量の変化も解析した。機能的にはそれぞれの発達段階の単一心室筋細胞にCa^<2+>感受性蛍光色素fluo-3を負荷し、Caffeine,Ryanodine,Thapsigargin,Nisoldipine,KB-R7943による反応性について検討した。これらの結果、発達に伴い筋小胞体が成熟し、細胞内Ca^<2+>濃度調節機構に主要な役割を持つことが判明した。
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