研究課題/領域番号 |
11670674
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
蔦本 尚慶 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40197695)
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研究分担者 |
前田 圭子 滋賀医科大学, 医学部, 医員
杉本 喜久 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30216337)
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キーワード | 心不全 / 拡張型心筋症 / 酸化ストレス / 酸化LDL / TNFα / 心室リモデリング / 予後 |
研究概要 |
心不全患者において心機能、心室リモデリングと酸化ストレス-サイトカイン-神経体液性因子の関係を臨床的に観察した報告はない。我々は、酸化ストレスの指標として大動脈-冠状静脈洞間の酸化LDL(oxLDL)を測定し、コントロール群では差を認めなかったが、拡張型心筋症患者(動脈硬化や、高脂血漿を認めない患者)では、心筋レベルでの酸化ストレスの増加を反映してoxLDLの有意な産生増加を認めた。一方、従来の酸化ストレスの指標とされるthiobarbituric reactive substances(TBARS)は差を認めなかったことより、oxLDLは鋭敏な酸化ストレスの指標と考えられた。心筋でのoxLDLの産生量は左室造影で求めた左室駆出率と負に相関し、酸化ストレスが心機能低下に関与していることが考えられた。心筋症患者において、大動脈-冠状静脈洞間のTNF_α産生量と心筋でのoxLDLの産生量が正相関した結果より、in vitroで報告されているように酸化ストレス亢進の原因としてTNF_αの関与が考えられた。さらに抗酸化薬と考えられるカルベジロールを投与されていた患者では、投与されていなかった患者に比べて、心筋でのoxLDLの産生量が有意に低下していた。すなはち、臨床的にフリーラジカルなどの測定は困難であるが、oxLDLは動脈硬化や、高脂血漿を認めない拡張型心筋症患者で増加することなどより、酸化ストレスの指標として有用である可能性が示唆された。さらには、84名の慢性心不全患者を対象に前向きに平均780日間追跡した結果、血漿oxLDL濃度は心血管事故の予測因子として有用であることが明らかになった。以上の結果を平成12、13年にアメリカ心臓病学会,日本循環器学会などで報告し論文に報告した。
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