研究課題/領域番号 |
11670680
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
久留 一郎 鳥取大学, 医学部, 助教授 (60211504)
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研究分担者 |
田中 保則 鳥取大学, 医学部, 助手 (60294310)
太田原 顕 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手
荻野 和秀 鳥取大学, 医学部, 講師 (70294311)
谷口 晋一 鳥取大学, 医学部, 助手 (30304207)
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キーワード | ヒト心臓 / Ischemic peconditioning / AMP deaminase family / ミオシン重鎖 |
研究概要 |
短時間の心筋虚血と再潅流がその後の長時間虚血によう心筋壊死の進展を遅らせ、心筋梗塞サイズの縮小を引き起こすischemic preconditioningに重要なadenosineは5'-nucleotidaseの活性にのみならず、その基質であるAMPの量にも依存する。AMP deaminaseが心臓の各部分において如何なる役割を担って言うのかは明らかではない。AMP deaminaseには筋型(type1)、肝型(type2)および赤血球型(type3)というisozymeが存在する事が知られている。本年度はまず開心術時に得られたヒト心房筋(心耳)及び米国からのreciepient heartからヒト心房筋及び心室筋を材料として、AMP deaminase(type 1,2,3)のいずれのtypeがmRNAレベル(RT-PCR)及び蛋白レベル(免疫沈降による酵素活性測定)で発現しているかを検討した。ヒト心房筋及び心室筋においてはAMP deaminase2及び3は右房及び左房、右室及び左室では普遍的にmRNAレベル及び蛋白レベルで発現していた。AMP deaminase1は右房にはmRNA level及び蛋白レベルで発現してしたが、左房、右室、左室では発現を認めなかった。AMP deaminase1は右心耳には蛋白の発現が認められない為、病態に依存したAMP deaminase1の発現の抑制又は右心房では部位特異的にAMP deaminase1の発現が調節されている可能性が示唆された。以上の結果はヒトの心臓では右房を除いてはAMP deaminase2及び3が重要である事が判明し、AMP deaminase1が主である骨格筋と大きく異なる事が明らかとなった。AMP deaminase1は細胞内ATP濃度依存性にミオシン重鎖と結合して収縮性の維持に働く事を以前われわれは報告した。そこで心臓において重要なAMP deaminase2及び3がミオシン重鎖と結合し得るかをCOS7細胞にAMP deaminase2又は3とミオシン重鎖を共発現させて免疫沈降法及び免疫組織学的に検討するした。AMP deaminase2及び3は共に心筋型ミオシン重鎖に結合できた。しかしAMP deaminase3はAMP deaminase2に比較して有意に強くミオシン重鎖に結合し、その程度はAMP deaminase1の結合性と同等である事が判明した。この結果はヒト心臓においてはAMP deaminase1に代わってAMP deaminase3がミオシン重鎖に結合し収縮性の維持に働く事を示している。
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