脳卒中易発症高血圧ラットの脂質代謝異常にかかわる遺伝子の同定と脳卒中との関連

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11670681
• 研究機関: 島根医科大学
• 研究代表者: 並河 徹 島根医科大学, 医学部, 助教授 (50180534)
• 研究分担者: 小川 博 近畿大学, 医学部, 講師 (00133546) ; 益田 順一 島根医科大学, 医学部, 教授 (70173747)
• キーワード: 脳卒中易発症自然発症高血圧ラット / 連鎖解析 / 量的形質 / QTL / コレステロール / 脳卒中

研究概要

脳卒中易発症高血圧ラット(SHRSP)は遺伝的に脳卒中を起こすラットであるが、同時にいくつかの脂質代謝異常を持つことが知られている。本研究では、SHRSPの脂質代謝異常にかかわる遺伝子領域を連鎖解析を用いて同定するとともに、その遺伝子領域とSHRSPの遺伝的脳卒中易発症性との関連を明らかにする事を目的とした。
11年度の計画に従って、(a)SHRSP,WKY(SHRSPの対照ラット)を交配してF2ラット300匹を作製し、コレステロール負荷前後で、脂質代謝にかかわる形質を調べた。その後、肝臓から抽出したF2 DNAを用いて遺伝子型を解析し、脂肪負荷前後の各種形質をもとに連鎖解析を実施中である。
連鎖解析は未了だが、表現形質の解析により、以下の点が明らかとなった。1)普通食飼育下でSHRSPはWKYに比べて低コレステロール、高トリグリセリド血症を示し、また、血中アポ蛋白E低値を示した。2)SHRSPでは体脂肪量の減少がみられた。3)脂肪負荷によりSHRSPでは反応性高脂血症を認めた。4)F2においては、トリグリセリド値が体脂肪量と相関し、HDLとは逆相関した。5)脂肪負荷後、体脂肪量と血中コレステロール値との間に逆相関を認めた。これらの知見は、SHRSPにおける脂質代謝異常のメカニズムを類推する上で有用な情報となることが期待される。

研究成果

• [文献書誌] Kato N,Tamada T,Nabika T,外8名: "Idenitfication of quantitative trait loci for serum cholesterol levels in stroke-prone spontaneously hypertensive rats."Arteriosclerosis,Thrombosis and Vascular Biology. 20. 223-229 (2000)
• [文献書誌] Mashimo T,Nabika T,外7名: "Maooing of four simple sequnce repeat (SSR) markers on rat chromosome 4."Hypertension Research. 23. 47-50 (2000)
• [文献書誌] 並河徹,家森幸男: "自然発症高血圧ラット-高血圧遺伝子解明への役割-"日本臨床. 58. 713-716 (2000)
• [文献書誌] Mashimo T..,Nabika T,Matsumoto C,外7名: "Aginig and Salt- loading modulate blood pressure QTLS in rats."American Journal of Hypertension. 12. 1098-1104 (1999)
• [文献書誌] Notsu Y.,Nabika T.,Park H-Y,Masuda J,Kobayashi S: "Evalution of genetic risk factors for silent brain infarction."Stroke. 30. 1881-1886 (1999)
• [文献書誌] Kato N.,Sugiyama T…,Morita H,Nabika T,外3名: "Lack of Evidence for Association Between the Endothelial nitric Oxide Synthase Gene and Hypertension"Hypertension. 33. 933-936 (1999)
• [文献書誌] 並河徹: "高血圧"Molecular Medicine. 36. 37-40 (1999)
• [文献書誌] Soubrier F,Bonnardeaux A,Nabika T,Jeunemaitre X,Corvol P,Cambien F: "Molecular Genetics of Hypertnsion:The study of candidate genes in hypertension using tools of molecular biology and genetic epidemiology."Bios Scientific Publishers Ltd. 25 (1999)