研究概要 |
ステント後再狭窄の主な原因である血管平滑筋細胞(VSMC)の過剰増殖に、ローキナーゼ(Rho K)の活性化が関与している可能性が最近報告されている。しかし,大型動物を用いた冠動脈形成術後のVSMCの増殖に関するシグナル伝達機構については不明の点が多く,Rho Kの関与も明らかでない。そこで、ステント植え込み部位の増殖内膜におけるRho Kの発現をブタ冠動脈ステント植込みモデルで検討した。また,Rho K阻害薬であるY27632をdrug deliveryカテーテルを使用してステント植え込み部に注入し,再狭窄の防止ができるかどうかを検討した。 去勢雄ブタの左冠動脈にバルーン傷害を加え、その2週後に同部位にステントを植え込んだ。ステント植え込み部にdrug deliveryカテーテルよりY27632を注入した。4週間後に血管内超音波を施行後屠殺した。対照群は生理食塩水投与群とした。光顕免疫組織化学、Western blot、RT-PCRを施行し、Rho Kの発現を検討した。 血管内超音波では、Y27632投与群では、生食投与群と比較し有意に新生内膜増殖は抑制され、血管内腔は広く保たれていた。光顕免疫組織化学、Western blot、RT-PCRでは、生食投与群と比較しY27632投与群ではRho Kの発現は減弱していた。 Rho K阻害薬であるY27632は、ステント植込み後の新生内膜に発現してくるRho Kを抑制することにより、冠動脈形成術後の再狭窄を抑制する可能性がある。
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