平成12年度においては、SHRとWKYの心筋梗塞モデルと虚血肢モデルを用い、側副路形成過程におけるVEGFの役割について検討を行った。 虚血筋肉中の毛細血管数(密度)を指標として、SHRとWKYの2群で側副路の発達を比較検討した。 SHR群ではWKY群に比し、側副路の発達が有意に低下していた。また、SHR群ではWKY群に比し、組織中のangiotensin converting enzyme(ACE)活性が有意に亢進していた。そこで、ACE-inhibitor(perindopril)の経口投与を3週間に渡り連日行ったところ、SHR群のACE活性は有意に低下し、SHR群の虚血筋中毛細血管密度はWKY群のレベルにまで有意に増加した。 VEGFに対する組織免疫染色では2群間でその発現に有意差を認められなかった。このことから、ACE-inhibitorによる血管新生効果はVEGFを介した作用ではない可能性が示唆された。ACE-inhibitorがhepatocyte growth factor(HGF)をはじめとする他の血管増殖因子の発現を制御しているとの報告もあり、他の増殖因子と血管新生との関係については今後検討を行っていく予定である。
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