日本においても、心臓あるいは下肢の虚血を改善するべく血管新生療法の開発に興味が持たれている。我々はin vivoにおける内因性サイトカイン活性化による血管新生療法を人工血管上にて試みたところ、良好な新生血管の侵入が得られ、内皮細胞での人工血管被覆に役立ち、治癒が促進した。昨年、自己の線維芽細胞を最初に培養しておき、その細胞の産生するサイトカインを血管新生に役立てる試みをrabbit ear chamber(REC)modelにおいて行う計画をたて、家兎の末梢血管に含まれる細胞をシャーレにて培養し、アクリル板および雲母板の上に移しさらに培養し、それをRECに応用した。円形の細胞がchamberに数日間観察され、追跡は可能であったが、tubular formationするまでには至らなかった。tubular formationするにはそれを取り囲む構造物(細胞外基質)がしっかりしていないと新しくできた血管自体は脆く、わずかな振動によっても形成された血管が破壊され、出血することを観察した。細胞外構造に何を選択すべきか種々試みたが、繊維状のエポーキシ架橋処理コラーゲンを用いたところ、新生した血管のRECへの侵入が速やかで、出血も少なく、炎症反応もわずかで、成熟血管網の完成まで3週間しかかからなかった。また成熟するRECの割合が多かった。コラーゲン繊維の間を縫って血管新生が進行していた。また、新生血管の侵入が良好であったことから、このモデルにおいて用いたコラーゲンが内因性サイトカインの吸着/徐放を速やかに行っていることも示唆された。さらに本研究を遂行していきたい。
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