本年度は、実験的心筋炎(ミオシン投与による自己免疫性心筋炎)を惹起させたラットの急性期に抗Fas抗体、抗Fas ligand抗体を投与し、慢性期における効果を病理学的に検討した。また脾臓のリンパ球をFACScanにより分析した。Lewis rat(7週令)にporcine myosinを注射し(これを第0日とする)、第7日に再度注射して心筋炎を惹起させた。第14日に抗Fas抗体(anti-APO-1/FAS)、または抗Fas ligand抗体(anti-P5)を腹腔内注射し、対照群には生食を注射した。第60日に再度にmyosinを注射し、その2週間後(第74日)に麻酔下に屠殺し、心臓および脾臓を摘出した。心筋組織では間質線維化および巣状のリンパ球浸潤がみられたが、対照群に比べて軽度であった。脾臓のリンパ球についてFACScanを行なった結果、非心筋炎ラットに比べてCD45ROの割合が増加していると考えられたが、この結果については尚検討を行なう必要があると思われた。 以上より、急性期に抗Fas抗体あるいは抗Fas ligand抗体を投与して心筋破壊を減弱させた場合は慢性期の病変は軽度であることが示された。
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