研究概要 |
【目的】アンジオテンシンII(AngII)受容体拮抗薬が心血管保護作用を有することは知られているが、心房の電気生理学的特質に対する作用は不明である。そこで心房の電気的リモデリングに及ぼすAngII受容体拮抗薬(candesartan)の効果を検討した。 【方法】雑種成犬18頭を用い、2本の電極カテーテルを高位右房と右心耳に留置した。右心耳の心房有効不応期(ERP)を基本周期200、300、400msで測定後、高位右房より800/分の高頻度心房ペーシングを3時間持続した。ERPはペーシング中60分毎に、停止後10分毎に30分間測定した。生理食塩水(8頭)、candesartan(5頭)、AngII(5頭)を高頻度ペーシング30分前より開始し、試験終了まで持続投与した(149±11から132±16ms,p<0.01)。control群(11±9%)とAngII群(11±3%)間でERP短縮率に有意差はなかった。しかし、candesartan群では高頻度ペーシング後のERP短縮が完全に抑制された(142±9から147±12ms,p=NS)。さらにcontrol群ではペーシングによるERP短縮率は基本周期が長いほど大であった(rate adaptationの消失)が、candesartan群ではこの現象は保たれていた。 【総括】AngIIは心房の電気的リモデリングに関与していると考えられた。AngII受容体拮抗薬は心房の電気的リモデリングを抑制するため、心房細動の慢性化予防に有効である可能性が示唆された。
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