研究課題/領域番号 |
11670727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中島 康秀 産業医科大学, 医学部, 教授 (20038780)
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研究分担者 |
田中 弘 産業医科大学, 医学部, 講師 (30269055)
岡崎 昌博 産業医科大学, 医学部, 講師 (40233316)
太崎 博美 産業医科大学, 医学部, 助教授 (60216950)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | プロフィリン / プロフィリンレセプター / 免疫電顕 / 細胞内シグナル伝達 / bFGF / AP-1 / 糸球体腎炎 / メサンギウム |
研究概要 |
アクチン結合蛋白のプロフィリンが各種疾患の病態生理にどのように関与しているか検討するため、ヒトのメサンギウム増殖性腎炎のモデルであるラットThy-1腎炎を作成し、メサンギウム細胞増殖期に一致し単離糸球体でプロフィリンのmRNAと蛋白の著明な発現亢進を認めた(J Am Soc Nephrol 11:423-433,2000)。糸球体でのプロフィリン発現の局在を免疫組織染色と免疫電顕で調べたところ、主にメサンギウム細胞が中心であった。培養ラットメサンギウム細胞においてbFGFが特異的にプロフィリンの発現を亢進させ、逆にプロフィリンの発現をアンチセンスで抑制するとメサンギウム細胞の増殖が抑制されたことから、プロフィリンは細胞増殖促進作用を介して病態の進展に影響を与えていることが推測された。またThy-1腎炎初期のメサンギウム融解により細胞から遊離沈着したと思われるプロフィリンが細胞外基質にも存在していることが免疫電顕で確認された。このため細胞外に存在するプロフィリンの生理的な意義を研究するためリコンビナントプロフィリンを作成し、プロフィリンレセプターが存在するかどうかをScatchard analysisで検討したところ、これまで知られていない新しいプロフィリンレセプターが存在することが判明した(J Am Soc Nephrol11:1620-1630,2000)。これによってProtein kinase C依存性にc-jun mRNAの一過性発現とAP-1DNA binding activityの増加が生じ、細胞増殖が刺激される事も判明した。以上よりプロフィリンにはこれまで考えられていた細胞内でのアクチンの重合・解離の調節作用に加えて、細胞外にも特定の病態下で存在し、細胞表面のプロフィリンレセプターを介し細胞内にシグナル伝達を引き起こすことで、腎炎などの病態の進展に影響を与えることが明らかになった。
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