研究概要 |
(1)ラットHGFcDNA(rHGF)を、筋親和性を実現するべくβアクチンプロモーターを有するプラスミド(pCAGGS)に組み込んだ(pCAGGS-rHGF)。同様にヒトHGFcDNA(hHGF)をpCAGGSに組み込んだ(pCAGGS-hHGF)。rHGFの発現のみ確認された。実験にはpCAGGS-rHGFを使用した。(2)培養細胞に対する遺伝子導入:超音波穿孔法を試みた。超音波のみにては遺伝子発現は認められず、ラット培養心筋細胞に対し、超音波造影剤との併用によりrHGFの培養上清中への有意な発現を確認した。(3)心筋組織に対する遺伝子導入:心筋症ハムスターTO-2の前壁中隔に体外より注射針による直接遺伝子導入を試みた。閉胸でのエコーガイドの際に超音波造影剤との併用を試みた。レポーター遺伝子LacZの心筋内発現が確認されたが、末梢血中へのHGF産生は認められなかった。(4)個体への遺伝子導入:TO-2の下肢骨格筋に対しLacZならびにIL5プラスミドを電気穿孔法にて導入し、局所でのレポーター発現と末梢血中へのIL5産生を認めた。電気穿孔法の条件を100V,50ms左右6回パルスと決定した。(5)心筋症ハムスターTO-2に対する電気穿孔法によるrHGF導入:下肢骨格筋(M.Tibialis.Ant.)へのrHGF投与量を200,400,800μgとすると800μgで血中濃度が最大となるため、この投与量を(4)の穿孔法条件にて導入。血中濃度は2週間以上にわたって5ng/mL以上を維持した。心エコー法による心機能は導入群で対照群、偽薬群に比し改善した。心筋組織病理上、導入群にて心筋線維化減少・毛細血管密度の増加が認められた。導入群ではコラーゲン分解にかかわるMMP-1活性の上昇が認められ、薬剤作用機序と推察された。(平成14年3月、第29回日本集中治療医学会にて最優秀演題の表彰を受けた。投稿中。)
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