研究概要 |
初年度として、血中メラトニン動態を反映する尿中サルフォトキシメラトニン(aMT6s)動態を正常コントロールにおいて年齢毎に検討した。健康小児および鼠径ヘルニア等の小手術のために入院した基礎疾患を持たない小児と健康成人を対象とし、年齢区分を以下の4群にわけた。2〜4歳:A群(N=18)、5〜9歳:B群(N=10)、10〜14歳:C群(N=9)、成人(24〜37歳):D群(N=9)。夜間のメラトニン分泌を反映する早朝第1尿および、昼間のメラトニン分泌を反映する午後2〜6時の尿のaMT6sのをRLAを用いて測定した。正常コントロールにおける早朝第1尿のaMT6sは、A群から順に129.8ng/mg.cre(以下単位は略)、96.5,31.2,17.3であった。午後の尿中aMT6sは、A群から順に12.9,3.1,3.5,1.0であった。早朝尿と午後尿のaMT6s比は、A群から順に16倍、38倍、39倍、18倍であった。これに対し、睡眠障害を伴う自閉症3例においては、aMT6s(早朝尿、午後尿)は、5歳児(7.9,10.4),11歳児(24.2,1.3)、31歳(3.9,1.1)といずれもメラトニンに日内リズムの変調あるいは分泌低下が認められた。睡眠障害を伴う多動児においては、6歳(89.3,5.4),9歳(18.0,0.7),12歳(59.0,2.7)と3例中1例にメラトニン分泌低下が認められた。いまだ、少数例の検討ではあるが、自閉症および多動児における睡眠障害にはメラトニン分泌障害が関連している可能性が高い。
|