研究概要 |
自閉症および多動性障害における睡眠・覚醒リズム障害とメラトニン動態の研究の2年目として、初年度に得られた正常コントロールにおける尿中サルファトキシメラトニン(aMT6s)を基礎に自閉症児におけるメラトニン分泌を検討した。正常コントロール2〜4歳(A群)、5〜9歳(B群)、10〜14歳(C群)、成人(24〜37歳)(D群)の早朝第1尿aMT6sは、A群から順に129.8ng/mg.cre(以下単位は略),96.5,31.2,17.3であった。午後尿の尿中aMT6sは、12.9,3.1,,3.5,1.0であった。睡眠障害を伴う自閉症3例において5歳児(早朝尿aMT6s7.9,午後尿aMT6s10.4),11歳(26.9,<1.0),31歳(3.9,1.1)であり、3例中2例はメラトニン分泌の日内リズムが消失していた。さらに自閉症で睡眠相後退症候群を呈していた11歳女児において24時間のaMT6sをみた。覚醒している間の尿中aMT6sは1.3〜3.5と低値であり、入眠中aMT6sは26.9(C群正常値31.2)とほぼ正常範囲であった。すなわち、睡眠相のずれとメラトニン分泌のずれが一致したことを報告した(平成12年、第8回北海道睡眠研究会)。また、睡眠障害を伴う多動性障害において、メラトニンとシプロへプタジンの併用療法が有効であることを報告した(平成12年度メラトニン研究会、東京)。プレリミナリな段階であるが、自閉症および多動性障害における睡眠・覚醒リズム障害にはメラトニン分泌障害が関連していることが示唆された。
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