研究概要 |
我々は健康小児および小手術のために入院した小児をコントロールとして、夜間のメラトニン(MLT)分泌を反映する早朝第1尿(以下、早朝尿)と昼間のMLT動態を反映する午後2〜6時の間の尿(以下、午後尿)のサルファトキシメラトニン(sMLT)をRIA法により測定した. 2〜4歳をA群(N=9), 5〜9歳をB群(N=10), 10〜14歳をC群(N=10)とした.結果は早朝尿;A群130ng/mg. cre(33〜409), B群97ng/mg.cre(13〜326), C群31ng/mg.cre(5〜63)、午後尿;A群13ng/mg. cre(4〜40), B群3ng/mg. cre(2〜20), C群4ng/mg. cre(0.1〜10)であった.この値を自閉症(AU)3例、多動性障害(ADHD)3例、Rett症候群(RS)12例と比較検討した.24時間モニタリングを5例(AU1例、ADHD1例、RS3例)、2ポイントのみの測定は13例で行った.睡眠障害のパターンはRSの1例が非24時間型の睡眠覚醒リズム障害を示し、他は入眠困難であった.24時間モニタリングにおいては、いずれも睡眠時間帯に一致してsMLTの上昇が認められた.このことから、これらの児の睡眠とMLTは密接な関連が示唆された.一方、早朝尿と午後尿の2点のみの検討では、13例中、昼夜が逆転3例、昼夜ともに低値1例、正常9例であり、睡眠障害とMLTの関連を明らかにするのは不十分であった.今後、血中MLTの夜間の立ち上がり時刻と入眠時間との関連を調べることによって、AU、ADHD、RSにおける入眠困難とMLT分泌の関連をさらに明らかにしたい.
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