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1999 年度 実績報告書

生体磁気学的手法を用いた小児脳の可塑性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11670735
研究機関東北大学

研究代表者

飯沼 一宇  東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80004927)

研究分担者 中里 信和  東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80207753)
横山 浩之  東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40271952)
萩野谷 和裕  東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (00208414)
キーワード脳の代償機能 / 大脳半球巨大嚢胞 / MEG / bandheterotopia / SEF
研究概要

小児期あるいは胎生期に、脳に形態的に明らかな損傷を受けた患者かしばしば軽微な神経症状しか示さない場合がある。このような例では損傷を受けた部位に残存機能かあるが、別の部位で代償機能を有している事が考えられる。本研究では以下の例で、MEGおよびfMRIによる検討を行った。
症例は24歳女性で、軽度の右片麻痺を示し、左大脳半球に巨大な嚢胞様病変があり、最も薄い脳実質はMRI上5mm程度であった。右片麻痺は日常生活に問題ない程度で、精神遅滞を合併しない。体性感覚誘発磁界(SEFs)を測定すると、右正中神経刺激時のN20mは低振幅、潜時が延長していた。その信号源は薄い皮質にわずかに確認できる脳溝の後壁に推定された。また、右手掌握運動時のfMRIでは左半球のSEFs信号源近傍、右半球では中心前回に、両側性に活動が認められた。著しい形態異常のある脳皮質にも運動・知覚機能が残存していると考えられた。
大脳皮質形成異常は神経芽細胞の移動障害によって生ずる脳の奇形である。その中のBandheterotopia(BH)は一部の細胞の移動が表層皮質まで到達せずに停留してしまい、帯状の異所性灰白質を示す形成異常である。
難治てんかんを合併したBH2症例において、生体磁気学的手法により、その機能を検討した。プロトン核磁気スペクトロスコピーでは、N-acetylaspartateとcreatineの比は、表層の皮質と皮質下の異所性灰白質とで有意差はなく、細胞構築およびその代謝はほぼ同様の性質を有していると考えられた。
一方、BHが全周性の症例1ではN20mの低振幅で潜時が延長しており、その信号源は浅層皮質に推定された。てんかん波の信号源は2症例とも深部灰白質部位に推定された。細胞の性状は近似しているが、表層まで到達した細胞群は正常機能を、途中で停留した細胞群は異常に発火していると考えられた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Ishitobi M.,Nakasato N.,Inoue T.,Ohnuma A.,Kanno A.,Iinuma K.,Yoshimoto T.: "Residual Function Detected by MEG and Functional MRI in Abnormally Thin Cortex Caused by a Large Congenital Brain Cyst"Recent Advances in Biomagnetism (Tohoku University Press, Sendai). 454-457 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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