1)川崎病急性期および回復期の血清中のサイトカインの検討を目的に、川崎病急性期の患者から得た血清を、赤血球病細胞株(TF1)に添加し検討した。その結果、川崎病急性期ならびに回復期の血清を添加しても、顕微鏡下で観察した範囲では、細胞形態変化は認められず、また3ないし5日間の培養にても、細胞増殖反応を来さなかった。次に、GM-CFS存在下に一定の血清を添加し、GM-CSFの希釈系列に対する影響を検討した。川崎病急性期の血清を添加したものでは、細胞増殖は、回復期の血清添加した系列より有意に増加していた。この結果は、川崎病急性期血清中にGM-CSFを増強する因子が含まれる可能性を示唆している。一方、川崎病急性期の血清を添加して刺激された培養細胞において、サイトカインの細胞内シグナル伝達因子の活性化を解析するために、チロシンリン酸化をウェスターンブロッティング法にて検出を試みたが確認できなかった。 2)ヒト臍帯静脈上皮細胞(HUVEC)におけるICAM-1ならびにFasの発現に及ぼす川崎病患者血清の影響を検討した。フローサイトメーターによる川崎病急性期の患者血清では、HUVECによるICAM-1の発現は有意に上昇したが、Fasの産生はみられなかった。一方、患者血清中のTNF-αは、回復期の患者血清中より有意に高く、それによりICAM-1の発現が生じた可能性が示唆された。
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