研究分担者 |
浜田 洋通 千葉大学, 医学部・附属病院, 医員
山本 重則 千葉大学, 医学部, 助手 (30241970)
小穴 慎二 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (80292704)
地引 利昭 千葉大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究概要 |
川崎病は乳幼児に発症する原因不明の血管炎である.血管炎の主病変は冠動脈で,ガンマグロブリン治療をしないと4人に1人が冠動脈瘤を合併し,死亡するものも少なくない.当該研究者は,川崎病病態におけるマクロファージの関与を報告してきたが,今回,マクロファージの遊走活性化因子であるMCP-1に関してその病態生理的役割を検討した.血中には,MCP-1が多く産生されていることが判明し,組織においてもMCP-1が発現していることを見出し,J Leukoc Biol(1999;65:566-572)に公表した.さらに,症例数を増やして検討したところ,同様の結果が得られた.また,尿中にもMCP-1が多く検出され,全身性のマクロファージの浸潤に大きな役割を果たしていることが推測された.次に,川崎病患者間におけるMCP-1の産生の相違がみられることと,MCP-1遺伝子の制御領域の遺伝的多型が関連していないかを検討した.MCP-1をコードする遺伝子の転写開始部位から2518塩基上流のアデニン(A)とグアニン(G)の変異がMCP-1の産生に関連することが報告されており(Rovin et al.,1999),川崎病患者におけるこの遺伝子多型を検討した.その結果,日本人148名のG allele carrierは68%であった.これは,先に報告された白人71名に占める比率,29%に比し,明らかに異なる結果で,民族差が存在することが判明した.しかしながら,日本人川崎病(93名)のG allele carrierは66%であり,川崎病既往のない対照日本人と同様であった.このことは,日本人において,川崎病の発症と今回調べた遺伝子多型とに関連がないことを示唆している.現在,この遺伝子多型と疾患重症度との関係を検討中である.
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