研究課題/領域番号 |
11670742
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 宏明 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80291326)
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研究分担者 |
小林 美由紀 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60205391)
林 泰秀 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30238133)
別所 文雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40010285)
滝 智彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
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キーワード | 乳児白血病 / 11q23転座 / MLL遺伝子 / t(4;11) / AF5q31遺伝子 / AF4遺伝子 |
研究概要 |
乳児白血病は半数以上の例で11q23に座位するMLL遺伝子の異常を認め、この遺伝子異常を持つ例では何らかの共通した発癌因子が存在する可能性がある。本研究の目的はMLLあるいはその他の遺伝子異常の判明している乳児白血病において、生直後の血液から同じ遺伝子異常が検出されるかどうかを検討した。本年は乳児白血病6症例、うち急性リンパ性白血病(ALL)5例、急性骨髄性白血病1例について、染色体分析およびMLL遺伝子プローブを用いたFISH法とreverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR)法により、t(4;11)を4例、t(X;11)を1例、t(5;11)を1例みいだした。これらの白血病細胞よりDNAを抽出し、同じプライマーを用いてlong PCR-シークエンスを行い、イントロンを含んだgenomic DNAでの切断点周囲の塩基配列を決定した。今後、イントロン部分にプライマーを設定し、さらに詳細にgenomic DNAレベルで転座点と近傍のトポイソメラーゼII認識配列を確認する予定である。また、胎児期の異常が確認された例については、母親の妊娠時の合併症、投薬歴、嗜好物等の調査を行い、原因となる共通の物質がないかどうかも検討する予定である。 さらに今年度は、t(5;11)(q31;q23)よりMLL遺伝子の相手5q31遺伝子を単離した。この遺伝子は乳児白血病で高頻度にみられるt(4;11)の4q21より単離されたAF4遺伝子と相同性がみられ、表面マーカーではCD10陰性、CD19陽性の同じB前駆型ALLであることより、t(5;11)-ALLは予後不良とされているt(4;11)-ALLの亜型と思われた。この遺伝子の造血組織の発生・分化における役割の解明は、11q23転座型白血病の発症機序の解明に貢献するものと思われる。
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