研究課題/領域番号 |
11670742
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 美由紀 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60205391)
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研究分担者 |
川口 裕之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00313130)
滝 智彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50322053)
林 泰秀 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30238133)
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キーワード | 乳児白血病 / MLL遺伝子 / AF4遺伝子 / AF5q31遺伝子 / t(4;11) / gene chip / LAF4遺伝子 / FMR2遺伝子 |
研究概要 |
乳児白血病では11q23転座型が高頻度にみられ、この転座型は急性リンパ性白血病(ALL)では予後不良である。近年11q23領域よりMLL遺伝子が単離され、これを用いて乳児ALLでみられたins t(5;11)よりAF5q31遺伝子を単離した。この遺伝子は16個以上のエクソンから構成され、1163のアミノ酸をコードし、t(4;11)から単離されたAF4遺伝子産物と高い相同性を有し、さらにLAF4、FMR2とも高い相同性を示した。AF5q31の切断点はAF4と同じ転写活性化領域の中に存在し、類似の融合蛋白を形成すると考えられた。AF5q31とAF4は、成人組織では種々の組織で強く発現していたが、胎児組織では、AF5q31の発現は心臓、肺、脳、肝臓ではほとんど発現していなかったが、AF4は肺、脳、肝臓での発現が強かったのに対して心臓ではほとんど発現していなかった。このMLL-AF5q31キメラ遺伝子をもつ乳児白血病は、白血病表面膜抗原はB前駆型で予後不良であった。ins(5;11)-ALLはt(4;11)-ALLと同じsubtypeに属するものと考えられた。さらに最近LAF4も染色体転座によりMLLと融合することが報告され、この症例もB前駆型であることからキメラ蛋白の構造が白血病の病型に強く関与していると考えられた。今年度はさらにDNAマイクロアレイを用いて、t(4;11)-とt(11;19)-ALLの細胞株で発現プロファイルを検討した。これらの細胞株各3株よりRNAを抽出し、Affymetrix社のGene Chipによる解析を行った。これらの株はほとんどがALLに特異的とされる遺伝子の発現がみられ、t(4;11)の1株のみは急性骨髄性白血病に特異的とされる遺伝子の発現もみられたが、mixed lineageの性状を有することが示唆された。またt(4;11)とt(11;19)で異なった発現プロファイリングを示す遺伝子もみられ、現在その詳細を検討している。
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