脊髄性筋萎縮症(SMA)の原因遺伝子であるSMN遺伝子(SMN1)と、セントロメア側に位置する遺伝子(SMN2)の比をPCR産物の制限酵素切断による固有の断片の定量を行うことで解析した。対照となるSMA TypeIの7家系(両親14名、同胞1名)について、この結果をすでに解析したマイクロサテライトマーカーによる遺伝子型の分析と比較した。7家系中6家系にはマイクロサテライトマーカーのうち少なくとも一つの欠失を含むlarge scale deletionが証明された。このような家系の保因者ではSMA関連染色体上ではSMN1とSMN2両方が欠失する可能性があり、この場合のSMN1/SMN2は1になると予想された。1家系の両親でSMN1/SMN2が1であるにもかかわらず、マイクロサテライトマーカーの欠失は認められなかった。この例ではSMA関連染色体にはSMN1の欠失とSNN2が少なくとも1つ存在し、一方正常染色体上では逆に少なくとも1つのSMN1があり、かつSMN2が欠失している可能性が考えられた。更にlarge scale deletionがない家系で両親のSMN1/SMN2が1/3となった例ではSMN関連染色体上でSMN1がSMN2へ転換するいわゆるgene conversionが起こったと考えられる。その結果、正常染色体の1つずつのSMN1およびSMN2とSMN関連染色体の2つのSMN2により両者の比が1/3となったと予想される。また、SMN関連染色体上で2つのマイクロサテライトマーカーの欠失を示しながらSMN1/SMN2が0.5を示す保因者があり、この例では正常染色体でのSMN2が2つあることが考えられた。現在、SMN1およびSMN2そのもののコピー数を定量するために内部標準を加えた定量的PCRを施行中である。
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