研究概要 |
臨床的に脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断された36例中、SMN1 (survival motor neuron)遺伝子のエクソン7、8の欠失が認められなかった10例についてエクソン7、8を含む約1.2Kb,のPCR産物の直接シークエンス解析を行った。頻度の高いY 2 7 2 Cの検索をPCR-制限酵素消化法によって検索した。シークエンス解析によってTypeIの1症例ではSMN1遺伝子のエクソン7、8欠失以外にSMN2variantとSMN2のヘテロ接合を有していた。SMN1遺伝子の欠失や点変異はなく、de novoでSMN2遺伝子の欠失のある症例は後の筋生検によりcytoplasmic body myopathyと診断された。他の1例も筋生検により組織学的に末梢神経の異常はなくSMAは否定的となった。筋生検が未施行であり、その他の検索によっても診断が確定していない残りの8例のうち、周生期に仮死の既往がある例や筋力・筋緊張低下以外に小奇形を伴う例が6例あった。8例中Y 2 7 2 C点変異が検出された症例はなかった。SMAでは症例の98%以上でSMN1遺伝子のエクソン7、8の欠失が認められ、残りの極少数例で他の点変異や短い欠失が報告されている。また、SMN1遺伝子がヘテロで欠失し、存在する対立遺伝子での点変異がある症例も含まれる可能性があり、SMN1/SMN2が1以下の症例では他のエクソンの点変異についての解析が必要である。
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