研究概要 |
1)伴性劣性高IgM症候群(XHIM)におけるCD40リガンド異常の検討 伴性劣性高IgM症候群の責任遺伝子がCD40リガンドであることを明らかにしたが、国内症例を多数集積し、新規遺伝子異常を見出した。遺伝子診断を簡便にするためSSCP法も確立した。また、患者血清中の可溶化CD40リガンドをELISAで測定し、典型的な患者では可溶化CD40リガンドが全く検出されないことを明かにし、血清診断が可能であることを示した。また、保因者では、可溶化CD40リガンドが低下していることも見出した。 2)CD40シグナル伝達異常による高IgM症候群の解析 AID遺伝子解析により、高IgM症候群II型の国内患者12人を見いだした。これらの患者では血清IgG, IgA, IgEは全て検出感度以下であった。また、患者B細胞をCD40+IL4刺激しても全くIgEが産生されなかった.これらのことから、AIDはクラススイッチに不可欠な分子であることが示された。また患者VH5領域のsomatic hyper mutation検討では、著明な低下が認められた。またAID変異については、Arg112がHot spotであると考えられた。今回見出された症例のうち5例は家族歴の見られない散発例であった。血縁結婚はなかったが、患者両親は、Arg112のヘテロ変異を有していた。これらのことから、Arg112変異をヘテロで保有している保因者は本邦で多くみられる可能性が示された. 3)CD40シグナルに関わる分子の検討 CD40シグナルに関わる分子として、Kuを同定した。すなわちKu分子が、CD40細胞内領域に結合し、刺激後チロシンリン酸化し、核内に移行することを見出した。また、刺激により、Ku分子を介してB細胞のDNA-PK活性が上昇することも見出した。このことは、Ku分子がCD40によるクラススイッチに関与していることを示している.
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