研究概要 |
Msx2ノックアウトマウスの骨形成の異常は、膜性骨化、内軟骨骨化の両方のタイプの骨形成に障害が認められた。骨芽細胞あるいは軟骨細胞の分化に働く重要な因子とされるCbfa1,osteocalcin,PTHrP receptorなどの発現は、Msx2は、これらの因子の発現を直接ないし間接的に調節していることが考えられた。Msx1,Msx2ダブルノックアウトマウスの骨・軟骨形成については、Msx1,Msx2の単独のノックアウトマウスより高度の骨・軟骨形成障害が認められた。Msx1欠損、Msx2欠損、およびMsx1・Msx2欠損間葉系細胞株および骨芽細胞様細胞株を継代培養を25-35回繰り返すことにより樹立した。未分化な間葉系細胞株C3H10T1/2および骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1にBMP-2を添加して培養し、骨芽細胞に分化するまでのMsx1およびMsx2の発現量の変化をNorthern blotにより調べたが、これらの細胞株ではMsx1およびMsx2はすでに発現しており、BMP-2添加しても発現の増加は認められなかった。Msx1欠損、Msx2欠損、およびMsx1・Msx2欠損の間葉系細胞株および骨芽細胞様細胞株にBMP-2を添加して培養し、骨芽細胞への分化能を調べたが、いずれの細胞株でもコントロールに比較して分化能が低下していた。野生型細胞株(C3H10T1/2およびMC3T3-E1)にMsx1、Msx2を過剰発現させたが、骨芽細胞へ分化誘導されなかった。Msx1欠損、Msx2欠損、およびMsx1・Msx2欠損株にMsx1、Msx2を過剰発現させてBMP-2を添加すると骨芽細胞への分化能が回復した。Msx1、Msx2蛋白とSox9蛋白の結合性を酵母のtwo-hybrid system法により調べたが、結合性は認められなかった。
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