2000 年度実績報告書

小児期糖尿病におけるインスリン-インスリン様成長因子相関の分子内分泌学的解明

研究課題

研究課題/領域番号	11670750
研究機関	山梨医科大学
研究代表者	雨宮伸山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10118903)
研究分担者	小林基章山梨医科大学, 医学部, 助手 (80324193) 金子誉山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10233876)
キーワード	糖尿病 / インスリン / インスリン様成長因子-I / インスリン抵抗性 / インスリン様成長因子結合蛋白 / 小児・思春期 / 遊離型インスリン様成長因子-I / ハイブリッド受容体
研究概要	従来のHOMAモデルでは小児期発症2型糖尿病のインスリン抵抗性は基礎値血中インスリン濃度によりある程度推定されるものの、潜在的なインスリン初期分泌不全の併発を解析できなかった。これをMinimal Modelでは解析でき、血糖値がほぼ改善された病態でも小児期発症肥満2型糖尿病では潜在的なインスリン初期分泌不全が残っていることを明らかにした。インスリン様成長因子(IGF-I)の抵抗性についても同様に検討し、インスリン感受性低下を示す疾患群は総IGF-Iは高値である一方、遊離型(free)との相対比は低下することが判明した。一方、小児期発症1型糖尿病では血糖管理を正常化できないが、早朝における血糖値の上昇(曉現象)がこのfree IGF-Iの減少であることを確認した。この際IGF-I結合蛋白(BP)-1ののリン酸化(p)が重要であることが判明した。しかし、1型糖尿病では従来指摘されている血中インスリン濃度の明確な低下の前にp-IGFBP-1は既に増加が始まっていることが確認された。また、非糖尿病者でもfree IGF-Iは夜間にその濃度は変動していることが確認された。また、動物実験上もラットへの低糖質食の投与はインスリン抵抗性を惹起する可能性が示唆され、これを健常者ボランティアーでも確認した。その因子として遊離脂肪酸の増加を考えているが、insulin/IGF-I系の関与は必ずしも明確でない。以上から、freeIGF-Iは生体ではインスリン様の代謝作用をtonicに発現していると考えられた。従ってp-IGFBP-1が急性に増加することにより、freeIGF-I減少に伴うインスリン抵抗性の出現として観察されると考えられた。糖尿病状態での慢性的なp-IGFBP-1増加の機構は、その調節領域に関与する内分泌・代謝因子の存在が重要と考える。現在insulin/IGF-Iのhybrid受容体の増加のインスリン抵抗性としての指標の意義を検討しているが、特異な病態は明らかにはなっていない。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] Kobayashi K,Amemiya S et al: "A role of free insulin-like growth factor-I in dawn phenomenon in children and adolescents with type 1 diabetes mellitus."Endocr J. 47(suppl). S91-S93 (2000)
[文献書誌] Kobayashi K,Amemiya S et al: "Pathogenic factors of Glucose Intolerance in Obese Japanese Adolescents With Type 2 Diabetes."Metabolism. 49:2. 189-191 (2000)
[文献書誌] Kaneko T et al: "The long term effect of low-carbohydrate/ high-fat diet on the development of diabetes mellitus in spontaneously diabetes rats."Diabetes metabolism. 26. 459-464 (2000)
[文献書誌] Mie Mochizuki,Shin Amemiya et al: "The Association of Ala45Thr Polymorphism in NeuroD with Child-onset type 1a Diabetes in Japanese."Diab Res Clin Prac. (in press). (2001)
[文献書誌] Kobayashi K,Amemiya S et al: "Proinsulin as a marker for glucose intolerance"Clinical Pediatric Endocrinology. (in press). (2001)
[文献書誌] 雨宮伸(共著): "小児糖尿病の臨床"永井書店. 217 (2000)
[文献書誌] 雨宮伸(共著): "小児・思春期糖尿病管理の手引き"南江堂. 228 (2001)

2000 年度 実績報告書

小児期糖尿病におけるインスリン-インスリン様成長因子相関の分子内分泌学的解明

研究代表者

雨宮 伸 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10118903)

研究成果

[文献書誌] Kobayashi K,Amemiya S et al: "A role of free insulin-like growth factor-I in dawn phenomenon in children and adolescents with type 1 diabetes mellitus."Endocr J. 47(suppl). S91-S93 (2000)

[文献書誌] Kobayashi K,Amemiya S et al: "Pathogenic factors of Glucose Intolerance in Obese Japanese Adolescents With Type 2 Diabetes."Metabolism. 49:2. 189-191 (2000)

[文献書誌] Kaneko T et al: "The long term effect of low-carbohydrate/ high-fat diet on the development of diabetes mellitus in spontaneously diabetes rats."Diabetes metabolism. 26. 459-464 (2000)

[文献書誌] Mie Mochizuki,Shin Amemiya et al: "The Association of Ala45Thr Polymorphism in NeuroD with Child-onset type 1a Diabetes in Japanese."Diab Res Clin Prac. (in press). (2001)

[文献書誌] Kobayashi K,Amemiya S et al: "Proinsulin as a marker for glucose intolerance"Clinical Pediatric Endocrinology. (in press). (2001)

[文献書誌] 雨宮伸(共著): "小児糖尿病の臨床"永井書店. 217 (2000)

[文献書誌] 雨宮伸(共著): "小児・思春期糖尿病管理の手引き"南江堂. 228 (2001)

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雨宮伸山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10118903)