研究概要 |
SCOT遺伝子の構造,配列を明らかにし,ヒトSCOT蛋白の3次構造モデルを作成し,3人のSCOT欠損症患者の遺伝子変異を同定,その特徴を明らかにした(論文投稿中).ゲノム遺伝子の配列をあきらかにしたことで,SCOT欠損症患者遺伝子変異のゲノムDNAでのスクリーニングを可能とした.肝臓でのみ発現していないSCOT遺伝子の発現調節機構の解明においては,エクソン1上流域3kbの塩基配列決定し,5'からの欠失フラグメントをPCRを用いて作成し,ルシフェラーゼアッセイベクターに組み込んで,エレクトロポーションを用いてHela細胞にトランスフェクションして,近位部における2つのGCボックスにSP1蛋白が結合することが基本的なSCOT遺伝子発現に必要であることを明らかにした(第42回日本先天代謝異常学会にて発表).さらに肝臓由来の細胞としてHepG2細胞を用いて同様の実験を行い,肝臓特異的発現抑制機構に関与するシスエレメントの解析を進行中である.またT2欠損症については,昨年度同定したスペイン5症例の遺伝子変異について変異の特徴を3次構造モデルを用いて検討し報告した(第42回日本先天代謝異常学会にて発表,投稿準備中).これまでの遺伝子変異スクリニーングを中心にまとめ,Methods in Enzymologyの324巻のBranched chain amino acid,part BにMolecular and enzymatic methods for detection of genetic defects in the distal pathways of branched-chain amino acid metabolismという章を共著で執筆した.ケトン体代謝異常症の臨床,生化学,分子病態について,Molecular and Metabolic Bases of Inherited Disease(8th edition)のInborn errors of ketone body catabolismという章を共同執筆した.
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