研究概要 |
臍帯血移植の利点の一つは移植片対宿主病(GVHD)が少ないこと、その程度が軽いことである。一方、白血病ではGVHDを発症したほうが白血病の再発が少ないという結果が骨髄移植で報告されており、これを移植片対白血病効果(GVL効果)と称している。臍帯血幹細胞移植ではGVHDが軽く、白血病ではGVL効果が期待できない可能性もある。GVHDの発症にはいくつかの免疫担当細胞が関与している。樹状細胞(Dendritic細胞)などの抗原提示細胞はHLAのアロ抗原ペプチドをT細胞に提示し、このT細胞は宿主を攻撃する。そこで臍帯血CD34陽性細胞あるいは臍帯血単球からサイトカインで誘導した樹状細胞によりGVHD/GVL効果を増強できるかどうかについて検討している。 臍帯血CD34陽性細胞よりサイトカインを使用して誘導した樹状細胞は強力な抗原提示能を示し、これらはトロンボポエチン受容体を発現していることを報告した(Brit J Haematol.105:1025-1033,1999)。また臍帯血中には成人の約4倍と単球が豊富にあることを報告し(小児血液学会、1999)、臍帯血単球よりサイトカインで樹状細胞が容易に誘導されることを見いだした(投稿中、1999)。これらの樹状細胞は強力な抗原提示能を示した。
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