研究概要 |
ゼラチン含有ワクチン接種によるゼラチンアレルギー反応の機序の解明のため,ゼラチン含有ワクチンの接種後に即時型のアレルギー反応を呈した8名,更に非即時型のアレルギー反応を呈したの8名の小児の末梢血をアレルギー反応後2週間以内に採取し,in vitroでゼラチン蛋白とともに培養,その際誘導されるTh1,Th2由来のサイトカイン,つまりIFN-γ(Th1),IL-2(Th1),IL-4(Th2),IL-13(Th2)などの遺伝子発現をRT-PCRを用い半定量的に解析し,感作リンパ球の性格を明らかにした.また,即時型,非即時型などの臨床像との関係を探った.以下のことが明かになった.(1)ゼラチンアレルギーを呈した児の末梢血液中に,ゼラチン抗原特異的なTh1,Th2両方のメモリー細胞が存在する事を明かにした.(2)ゼラチン特異IgE抗体が陽性で即時型反応を呈した例では,IgE抗体産生のスイッチングに働くとされる,ゼラチン特異的Th2細胞由来のサイトカインの強い誘導が認められるとともに,Th1細胞由来のサイトカインの誘導も観察された.これによりゼラチン抗原による感作様式が多種に渡ることが考えられるとともに,両細胞がこの反応に関与していることが考えらた.(3)IgE抗体が感度以下で非即時型反応を呈した例では,全体に反応が弱かったが,Th1優位の反応が観察された.一方,IL-4と同様,IgE抗体御産生のスイッチングに働くとされるIL-13遺伝子の発現がみられ,この反応への関与が考えられた.
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