研究概要 |
・生後2週齢の日本白色家兔の摘出心臓をworking heart法で灌流した。灌流は40分虚血後40分再灌流を行い、灌流液はKrebs-Henselite(pH7.4)に1.25mMCa^<2+>,5.5mM glucose,1.2mM^<13>C-palmitate,1.25mM lactate,0.5mM acetoacetateを混合したものを用いた。 ・虚血灌流心の^<13>C-パルミチン酸酸化能を,tandem massを用いて心筋組織内のacetyl-carnitineに占める^<13>C標識の比率を測定することで検討し、組織内malonyl-CoAはHPLCを用いて測定した。 ・心筋組織内のマロニルCoA濃度は非虚血、虚血後にかかわらずグルカゴン投与時はインスリン投与に比べて低下しており、パルミチン酸酸化能は亢進していた。パルミチン酸酸化能の程度は非虚血、虚血後の間に有意差は認めなかった。再灌流時の心機能回復はインスリン投与に比べグルカゴン投与で有意に不良であった。 ・以上の結果から、未熟心筋では成熟心筋と異なり再灌流時の脂肪酸酸化亢進(虚血前に比べて)は認められないが、新生児・乳児期に血中濃度が増加するグルカゴンの影響で、心筋組織内のマロニルCoA産生が抑制され、脂肪酸酸化が亢進すると共に、再灌流時の心機能回復が低下すると考えられた。
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