研究課題/領域番号 |
11670787
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
篠原 治 東海大学, 医学部, 助教授 (40129466)
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研究分担者 |
加藤 俊一 東海大学, 医学部, 助教授 (70096212)
久保田 千鳥 東海大学, 医学部, 講師 (80189860)
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キーワード | 骨髄移植 / 甲状腺ホルモン / 甲状腺機能低下症 / 小児 |
研究概要 |
骨髄移植は、白血病などの悪性腫瘍、再生不良性貧血などの非腫瘍性血液疾患の治療法として確立している。移植後の長期生存者数の増加に伴い、移植を受けた小児の成長障害、性腺機能不全など、長期的な内分泌機能への影響がクローズアップされている。 今回は、当院で骨髄移植を受けた症例の長期間にわたる甲状腺機能の推移につき検討した。対象は、1985年から1995年の間に移植を受けた91例(男50例、女41例)で、移植時年齢は0.6〜21歳で、生存例、死亡例も含む。60例は悪性疾患、31例は非悪性疾患である。前処置として、化学療法の他に悪性疾患は12Gy、非悪性疾患は3〜8Gyの放射線照射を受けた。甲状腺機能の検討は、遊離サイロキシン(FT4)および遊離トリヨードサイロニン(FT3)基礎値、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)負荷に対する甲状腺刺激ホルモン(TSH)基礎値と頂値により行った。移植後の短期間の検討では、FT3とTRHに対するTSH反応性は直後に低下し、1年後には正常化する傾向を認めた。一方FT4値は有意な変動はなかった。長期的検討では、2例に原発性甲状腺機能低下症が認められた。また、6例は経過観察期間中FT4値は正常値を維持していたが、TSH基礎値上昇またはTRH負荷頂値の過剰反応が認められ、代償性甲状腺機能低下症の状況を呈した。この様な甲状腺機能の変化は移植後4〜5年経過後に出現する場合が多く、長期的な甲状腺機能のフォローが肝要であると考えられた。
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