研究課題/領域番号 |
11670787
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
篠原 治 東海大学, 医学部, 助教授 (40129466)
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研究分担者 |
加藤 俊一 東海大学, 総合医学研究所, 教授 (70096212)
久保田 千鳥 東海大学, 医学部, 講師 (80189860)
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キーワード | 骨髄移植 / 成長ホルモン / 負荷試験 / インスリン負荷試験 |
研究概要 |
GH分泌刺激試験のgold standardはITTとされている。負荷試験の常として再現性の問題があるが、同一人に繰り返し行った検討は多くない。一連の骨髄移植後の内分泌学的検討でこの点につき、新しい知見が得られた。 対象は、移植1年後より3回以上ITTを受けた48例(男27例)で、腫瘍性疾患(白血病等)36例、非腫瘍性疾患(再生不良性貧血等)12例、移植時年齢は0.8〜17歳、移植後経過年数は4〜14年である。インスリン負荷で血糖値が50mg/dL以下、あるいは前値の50%以下を有効な低血糖刺激とみなした。 1人あたりのITT回数は3〜10回、総検査回数は260回であった。血漿IGF-I値とGH頂値との間に明らかな相関関係は認められず、GH頂値が10ng/ml未満にもかかわらず血漿IGF-I正常値を示す場合がほとんどであった。 48例中常にGH低反応(<10ng/ml)を示した症例は6例(12.5%)で、GH頂値が常に正常であった症例は18例(37.5%)であった。一方、常にIGF-I低値を呈した症例は2例であった。繰り返した検査で時にGH低反応を示した症例は24例(50%)で、1回、2回、3回、4回以上GH低反応を示したことのある症例はそれぞれ、13、2、4、5例であった。これらの患者では全例IGF-Iは正常値であった。検査の延べ回数からみると、総検査回数は260回であり、常にGH例反応を示した6例の検査回数29回を除いた231回のインスリン負荷では178回(77%)はGH頂値≧10ng/mlであったが、53回(23%)は<10ng/mlであった。カットオフポイントを<5ng/mlとすると10回(4%)であった。 GH頂値10ng/mlを基準とするとITTを繰り返した症例の約半数が、少なくとも1回は、十分な血糖低下条件下で低反応を示した。5ng/mlを基準とした場合、繰り返し低値を示したのは4%であり、許容できると考えられる。結論として、同一患者での検討において、ITTの再現性は低く、ITTで充分に血糖値が低下したとしても、頂値10ng/ml未満はGH分泌不全の指標にならないと考えられる。
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