研究概要 |
今年度は種々のサイトカインによりヒト造血幹細胞のex vivo増殖を試みた。臍帯血より分離した単核球を各種単クローン抗体で反応後、Coulter社のEPICS HyPerSortSystemのFACSを用いてclone sortingしその増殖、分化能につき解析している。CD34^+細胞を分離しIL-3,IL-6,SCF,Thrombopoietinなどの組み合わせにより未分化造血前駆細胞の増幅が得られている。しかし新規に購入したFACSの設定条件の検討やオペレイターの技術習得に時間を費やし当初予定していたCD34^+細胞以外の造血幹細胞を認識する細胞表面抗原陽性細胞を分離しIL-3,IL-6,可溶性IL-6receptor,SCF,Thrombopoietinなどの組み合わせによる未分化造血前駆細胞の増幅については現在検討中である。また臍帯血から有核細胞を有効に回収するための試みについて発表予定である。一方、臨床面では非腫瘍性疾患の内ハンター症候群IIA,IIB,Morquio症候群,ADSに対する造血幹細胞移植を施行し、中でもハンター症候群IIAの臍帯血移植例は臨床的にも酵素学的にも改善が見られ班会議などで報告している。
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