研究概要 |
平成11年度 臍帯血から分離した単核球を各種の単一クローン抗体を使用しCoulter社のEPICS HyPerSort SystemのFACSでclone sortingを行いその増殖、分化能について解析した。その結果、CD34+細胞にIL-3、IL-6、可溶性IL-6受容体、SCF、Thrombopoietinの組み合わせにより未分化造血前駆細胞の増幅が得られた。NOD/SCIDマウスに移植しヒト臍帯血が生着する事をCD45+細胞の発現で確認しており、ヒト臍帯血細胞のin vivo測定が可能である事を確認した。臨床面ではムコ多糖症(typeIIA・B, typeIV)に臍帯血幹細胞,移植を行い成功した。平成12年度 臍帯血中の造血幹細胞と血管内皮細胞の共通祖先細胞であるヘマンジオブラストを同定することを目標としてFACSでヒト臍帯血中のCD34+細胞を種々の表面マ-カーで分離し造血細胞と血管内皮細胞へのin vitroでの分化能をコロニーアッセイ法と血管内皮培養法で検討した。抗ヒトCD34抗体、抗TIE抗体、抗TEK抗体を用いて、CD34陽性細胞上のTIEおよびTEKの発現を検討したところCD34陽性細胞のうち、50.7±7.5%(n=12)にTIEの発現を、26.5±4.5%(n=16)にTEKの発現を認めた。Lin-CD34+細胞をTIEまたはTEKの発現強度によりCD34+TIE+細胞・CD34+TIE-細胞分画、CD34+TEK+細胞・CD34+TEK-細胞分画に分け、各々の細胞分画をFACSにて分離し、有血清メチルセルロースクローナル培養をSCF, IL-3,1L-6,G-CSF, EP0存在下で行った。両者間でコロニー形成の差はなかった。平成13年度 同定されたヘマンジオブラスト分画をNOD/SCIDマウスに移植し、ヘマンジオブラストのin vitroでの造血再構築および血管内皮培細胞への分化能を検討した。TEKの発現強度によりCD34+TEK+細胞・CD34+TEK-細胞分画に分け、それぞれ1.0×10^4個の細胞を大腿動静脈を結紮したNOD/SCIDマウスに移植した。移植6週後に各々のマウスの結紮側下肢から筋肉を採取し、ヒト血管内皮表面抗原を免疫染色した。さらに、同マウスの肝臓の類洞内皮細胞を培養し、ヒト血管内皮表面抗原の発現を調べた。TEK+細胞移植群では虚血部平滑筋内に血管様構造をとる免疫染色陽性細胞がみられた。肝類同内皮細胞にもヒト血管内皮表面抗原の発現が認められ、TEK+細胞が血管内皮分化能をもつことが示された。
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