研究課題/領域番号 |
11670800
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
丸 栄一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80221597)
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研究分担者 |
山形 要人 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
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キーワード | てんかん発作 / 発作後抑制 / 内因性発熱物質 / プロスタグランジン合成 / COX-2ノックアウト・マウス / ニメスリド / 熱性ケイレン |
研究概要 |
熱性けいれん重積発作から難治側頭葉てんかんへの進行過程には神経ペプチドを含む様々な内因性物質が関与しているものと考えられるが、内因性発熱物質であるprostaglandin(PG)もてんかん発作の発生に重要な役割を果たしているものと推測されてきた。しかし、てんかん発作におけるPGの役割については未だ明確な結論が出されていない。本研究において、われわれは次の2つの実験によりてんかん発作におけるPGの役割を明らかにした。 1.Cyclooxygenase-2(COX-2)遺伝子ノックアウト・マウスを用いた実験:通常、脳内のPG濃度は極めて低いが、外因性発熱物質やてんかん発作などによってCOX-2遺伝子が賦活されると急激にPG濃度が上昇する。本実験では、COX-2ノックアウト・マウスを用いててんかん発作の誘発と発作後抑制(postictaldepression)におけるPG合成の役割を検討した。その結果、初めて発作を誘発する時の閾値とその発作持続時間には両群間に有意差はなかった。しかし、COX-2ノックアウト・マウスにおける発作後抑制の強さは、野生型マウスのそれよりも有意に強かった。すなわち、脳内PGは発作後抑制を弱め、発作の再発生を促進しているものと考えられる。 2.COX-2阻害薬、ニメスリドを用いた実験:COX-2阻害薬であるニメスリドを経口投与して、脳内PG合成阻害がてんかん発作の誘発と発作後抑制にいかなる影響を及ぼすか検討した。結果はCOX-2遺伝子ノックアウト・マウスを用いた実験結果と同じく、脳内PG合成阻害は発作後抑制を増強することが明らかとなった。 以上の結果から、内因性発熱物質であるPGは発作後抑制に拮抗して発作重積状態を促進するものと結論された。
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