研究課題/領域番号 |
11670800
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
丸 栄一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80221597)
|
研究分担者 |
山形 要人 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
|
キーワード | 海馬 / 神経可塑性 / 長期増強 / CRF / LTP / KIP / キンドリング / 熱性けいれん |
研究概要 |
Corticotropin releasing factor(CRF)は、てんかん発作により脳内での合成が促進されるばかりでなく、その脳室内投与により重篤な辺縁系発作が誘発される。また、熱性けいれんや年令依存的てんかん発作がCRF受容体拮抗薬の投与により抑制される。これらの事実は、てんかん発作の発現においてCRFが重要な役割を果たしていることを示唆している。さらに、最近、てんかん焦点形成において促進的な役割を果たす長期シナプス伝達増強もCRF受容体拮抗薬により強く抑制されることが明らかになった。本年度の研究では、熱性けいれんおよびてんかん発作発現におけるCRFの役割を明らかにするため、3つの実験を行い、次の結果を得た。 1.海馬長期シナプス伝達増強(LTP)に対するCRF_1受容体拮抗薬の効果:CRF_1受容体の選択的拮抗薬であるCRA1000(10mg/kg)は、海馬のLTP誘発に対して有意な作用を及ぼさなかった。LTP誘発率は、海馬貫通路に対する高頻度電気刺激60分後、コントロール群で132.7±3.2%、CRA1000投与群で131.2±42.6%であった。 2.キンドリング誘発シナプス伝達増強(KIIP)に対するCRF_1受容体拮抗薬の効果:キンドリング発作によってもLTPと類似の海馬長期シナプス伝達増強(KIP)が誘発される。キンドリング発作3時間後におけるKIP誘発率は、コントロール群で122.7±9.6%、CRA1000(10mg/kg)投与群で111.4±21.3%と、CRF_1受容体拮抗薬による抑制傾向が示されたものの、この差は統計的に有意ではなかった。 3.熱性けいれん誘発に対するCRF_1受容体拮抗薬の効果:生後11〜13日令のWistar系ラットを被験体とした熱性けいれんの誘発に対してCRA1000(30mg/kg)は有意な効果を及ぼさなかった。
|