研究概要 |
ムンプスウイルス国際分類が変更になりSH領域のアミノ酸配列の違いからA〜Jの10群のgenotypeに分類されている。1999年から3年間の間に日本で流行した株のSH蛋白アミノ酸配列に基づく系統樹解析をおこない、最近流行株はgenotype Gのイギリス分離株に相当する株である。これらの株のHN領域の遺伝子を検討すると必ずしもSH領域の分類と一致しない株も存在した。SH蛋白は非構造蛋白でありSH領域に基づくgenotype分類には問題があり、感染防御に重要な蛋白であるHN領域の変化による分類が重要である。全国11の小児科医院を受診し臨床的にムンプスと診断されその後の経過表が得られた1353例を対象にウイルス分離、RT-PCR共に陽性の872例と、ウイルス分離は陰性であったがRT-PCR陽性の213例の合計1085例がウイルス学的にもムンプスと証明された。この中で入院を要する無菌性髄膜炎は13例、難聴が1例認められた。入院を要する無菌性髄膜炎は12%であることが明かとなった。またムンプス難聴は従来考えられている15,000例に1例よりは高い頻度で合併するように思われる。ワクチン接種後無菌性髄膜炎、耳下腺等の副反応症例から分離されたウイルスが、野生株かワクチン株かはHN領域のRFLP法により鑑別可能であることは報告した。副反応症例から分離され星野ワクチン株と判定された株について塩基配列をみるとF蛋白、F-HN intergenic、HN蛋白領域に変異が認められることを報告した。ムンプスワクチン接種後耳下腺腫脹例から分離されたAP-3,AP-4,AP-5,AP-6の4株はHN蛋白65位がSerからIle,に変異していた。Ap-3株からHN発現プラスミドを構築しT7 RNA polymeraseのもとで発現させると大きな細胞融合を形成した。
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