1)Vγ3T細胞は胎生期には皮膚以外に腸管にも遊走するが、生後は腸管からは消失する。Vγ3T細胞が胎生期の腸管で生存・増殖できない理由を明らかにするために、胎生期の皮膚と腸管においてVγ3T細胞の生存・増殖を支持する可能性のある各種サイトカインの発現に差があるかどうかを検討した。RT-PCR法では、胎生期の皮膚と腸管のいずれからもIL-2およびIL-4のmRNAは検出されなかったが、IL-7・IL-15・TNF-α・SCFのmRNAは両臓器で同程度に発現していた。IL-15は転写レベル以外でも発現調節があることが知られているが、抗IL-15抗体による免疫組織化学染色では、胎生期の表皮および腸管上皮の両者にIL-15蛋白の発現が認められた。 2)胎生期の皮膚と腸管におけるVγ3TCRの認識するリガンドの発現を検討するために、胎仔マウスから表皮細胞および腸管上皮細胞を調製し、Vγ3T細胞株と共培養して、培養上清中のIL-2を測定した。表皮細胞はVγ3T細胞株のIL-2産生を誘導したが、腸管上皮細胞はVγ3T細胞のIL-2産生を刺激できなかった。 3)以上より、Vγ3T細胞が胎生期の腸管で生存・増殖できない理由は、腸管上皮細胞がVγ3TCRリガンドを発現していないためであることが明らかになった。今後は、胎生期の皮膚においてVγ3T細胞の生存・増殖を支持するVγ3TCRからのシグナルがBcl-2等のapoptosis関連分子の発現を介しているかどうかを検討する予定である。
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