研究概要 |
自己免疫性水疱症患者においてB細胞表面のCD19とCD22の発現量が自己抗体産生に及ぼす影響について明らかにするため実験を行った。対象は水疱性類天疱瘡(BP)10例,落葉状天疱瘡(PF)4例,正常コンロール18例とした。ヘパリン加末梢血を採取しB細胞マーカーCD20に対する抗体とCD19,CD22,CD21,CD5あるいはB細胞の活性化マーカーCD25,CD69,CD80,CD86,CD125に対する抗体で二重染色しフーサイトメーターを用いて各分子の発現量を解析した。BP群,PF群のいずれにおいても正常群と較べてCDの発現量の有意な増加はみられなかった。また両群においてCD22の発現量の有意な低下はみられなかった。CD19あるいはCD22の発現量の異常が抗原特異的B細胞においてのみ起きている可能性が考えられるので現在組換え型BP抗原を用いて,抗原特異的B細胞の同定と,それらの細胞におけるCD19およびCD22の現量を検討中である。各種活性化マーカーの解析では,BP患者においてIgEの低親和性のリセプターCDの発現量が正常群と較べて増加しておりB細胞の活性化が示唆された。また,PF患者においてCD21の発量が正常群と較べて低下し,補体系の活性化が示唆された。その他のB細胞活性化マーカーの発現量についは,BP群,PF群のいずれにおいても正常群と有意差は認められなかった。
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