紫外線は一般に免疫反応を抑制することが知られている。皮膚に紫外線を照射した場合そこで生じる免疫抑制として主に2つのメカニズムが考えられる。1つは皮膚の主要な構成細胞であるケラチノサイトを介するものである。もう1つは皮膚の免疫担当細胞であるランゲルハンス細胞(LC)である。LCに対する紫外線照射の効果を解析した。LCとしてはA/Jマウス由来の細胞株であるXS106を用いた。紫外線はUVB(サンランプ)を500J/m2を照射した。LCにUVBを照射すると、アポトーシスを誘導することは既に報告しているがこのシステムでT細胞側に何らかの免疫不応答を誘導できることを期待して行った。 LCを抗原KLHでパルスした後、UVBを照射する。そしてこのLCを同系マウスに皮下注しフットパッドの腫脹でみた遅延型反応に対する影響を解析した。 1)紫外線照射したLCとT細胞を培養すると、LCにはアポトーシスが生じT細胞の増殖活性化は抑制された。 2)紫外線照射したLCを投与されたマウスにKLHでの感作が有意に抑制された。無関係な抗原OVAでは感作の抑制が見られずこの抑制は抗原特異的であった。 3)予めKLHまたはOVAで感作を成立させておいたマウスに紫外線照射(抗原をパルスしておいた)DCを投与すると抗原特異的に遅延型反応の抑制が観察された。 以上より紫外線照射LCは抗原特異的免疫抑制誘導に有効であることが判明した。
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