研究概要 |
膠原病は皮膚、関節、血管、および内臓諸臓器を病変とする全身性自己免疫疾患である。申請者は軽症型強皮症の血清学的マーカーとされる抗セントロメア抗体(ACA)を用いてセントロメア抗原の構造と機能の解析、疾患特異性の検討及びセントロメア抗原に対する自己免疫反応の解析を行ってきた。ACAの産生機構の解明を目的として、主要対応抗原のCENP-A,-B,-Cに関して、ヒトACAの反応性を継時的に調べた所、CENP-A,-Cに対する反応性は多少の変動があるのに対して、CENP-Bに対する反応性は安定しており、殆ど変化が見られなかった。免疫グロブリン別にそれらの反応性を比較したところ、CENP-A,-Cに対する反応性は患者間で多様性が認められるものの、IgG,IgM,IgAクラスそれぞれに反応を認めたが、CENP-Bに対する反応はIgGクラスに限定されるものであった。以上の結果より、CENP-A,-Cに対する自己免疫応答とCENP-Bに対する自己免疫応答に明らかな差異が存在することが判明した。動物でヒトのACAを模倣する抗体を作成するために用いる免疫源としては、種において保存性の非常に高いCENP-BのC末端部分を2量体化させたものを候補にしているが、CENP-CのC末端部分に比較すると架橋剤による2量体化の効率がひとつの課題であることが判明した。一方、ひとのACAに対するCENP-Aのメジャーエピトープ部分であるN末端はマウスのアミノ酸配列と比較的異なることより、合成ペプチドの免疫はマウスは適さないと考えられ、別のグループよりウサギで抗CENP-A抗体を作成した研究があることよりウサギを使用する予定とする。
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