研究概要 |
色素細胞におけるプロテインキナーゼC(PKC)分子種の役割を解析するために、私共が既に色素細胞に発現するPKC分子種として確認しているα,β,δ,ε,ζに対するアデノウイルスベクターを次の順序で作製した。まず、それぞれの分子種遺伝子のcDNAをシャトルベクターpAdCMVに組み込み、これをアデノウイルスゲノムのE1及びE3領域を欠くlarge fragment dl7001と共にリン酸カルシウム法で293細胞に同時にトランスフェクトした。293細胞はヒト胎児腎細胞がアデノウイルスのE1領域遺伝子によりトランスフォームして樹立された細胞株で、この細胞株においてはE1遺伝子が発現しているので、細胞内でシャトルベクターpAdCMVとlarge fragment dl7001が相同組み換え(homologous recombination)を起こすと、その組み換えウイルスはE1遺伝子を持たないにもかかわらず、293細胞では野性株と同様に増殖し、かつ目的遺伝子を保持している。目的遺伝子を保持する組み換えアデノウイルスをサザンブロットによりスクリーニング・確認後、精製操作を行い、最終的に高力価の組み換えアデノウイルスベクターを得た。悪性黒色腫細胞にそれぞれの分子種に対するアデノウイルスベクターを感染させた後、ウエスタンブロットを行い目的分子種蛋白の発現を確認し、さらに精製した酵素を用いて活性化劑(ジアシルグリセロール、Ca^<2+>、フォスファチジルセリン)の要求性を検討し、作製したアデノウイルスベクターの有効性を確認した。
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