研究概要 |
1.ヒト色素細胞に発現するMC-R subfamily 既に知られているMSH受容体MC1-R以外のsubfamlyの発現を検討したところ、検討したメラノーマ細胞7種においてMC-4Rを除く、他のMC1-R,2-R,3-R,5-Rの発現が確認された。一方、正常メラノサイトでは、18歳由来の細胞では、MC1R〜5Rの全てが発現していたが、17歳と85歳由来の細胞では、MC1-Rと3-Rのみの発現がみられ、43歳由来の細胞では、MC1-R,3-R,5-Rの発現がみられた。検討したメラノサイト4種類において、MC1-Rと3-Rは全て細胞において発現がみられたが、5-Rは2種類のみ、また、2-Rと4-Rは1種類の細胞においてのみその発現が認められた。即ち、メラノーマ細胞と異なり、メラノサイトでは細胞のdonorが異なると、subfamilyの発現が異なることが判明した。 2.Tyrosinase活性化におけるPKAとPKCの役割 MSH刺激時、PKCαおよびβのantisense添加にてtyrosinaseの活性が有意に増加した。また、他のPKC inhibitorであるcalphostinおよびstaurosporine添加にても同様の傾向を認めた。一方、MSH無添加の状態では、有意な変動はみられなかったが、PKCの阻害により、tyrosinase活性は抑制される傾向にあった。dbcAMPにて細胞内のMP濃度を高めると、tyrosinase活性は高まるが、この際、PKCを阻害すると、tyrosinase活性は抑制された。以上まとめると、MSH刺激時にはPKCはtyrosinase活性抑制として働き、コントロールあるいはdbcAMP刺激時には、逆にPKCはtyrosinase活性刺激に働くことが推察された。
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